アーバンリゾートなフリーフローサンデーブランチ by the Shore




週末はフリーフローのブランチ! というのが定番になりつつある香港。

先日は家族と一緒に、メディア向けの新ブランチお披露目にうかがってきました♪

それはShore! 私が香港に来た頃から人気のあったスタイリッシュなお店で、ステーキの美味しさで有名でした。仕事柄、新しいお店に行きがちなので、久々の再訪が楽しみでした。飲食業界の競争が激しく、新しいもの好きな土地柄の香港で、しっかり長く人気を保っているお店というのは、それだけのことがあるはず!

さてさて、Shoreのサンデーブランチは、”Brunch By the Shore”ということで、ルーフトップテラスを使ったアーバンリゾート感覚。

香港のど真ん中でも、緑があるし、テラスは広いしで開放感があります。

ブーブクリコのイエローラベル、カクテル、自家製レモネード、ココナッツジュースなどの飲み物飲み放題+ブッフェスタイル。

これでもか、と注いでくれました(笑)ブーブクリコのイエローラベル。



ココナッツジュースやサングリアも。

私はシャンパン以外では、もっぱらレモネード。

やっぱりShoreと言えばお肉でしょう、と言わずとも、肉食な息子達は主にここに入り浸り。

どれもとても美味しく焼き上げられていました。

私の家族のテーブルの皿がやたらに茶色いことに気づき(汗)、サラダバーへ。

キノアやツナや、一工夫、二工夫ある組み合わせばかりで、言うことありません!

シーフードも自慢、ということで、こんなサインが。

Shoreの総シェフのクリス・ケールさんが丁寧に盛りつけています。

DJもいて、雰囲気抜群。

これぞフリーフローというぐらい、どんどん注いでくれました♪

テーブルに茶色以外の色を加えることに成功(笑)。

こちらは撮影用にすでに並べられていたテーブル。バランス取れています。

やっぱりブッフェに行くとこうなる(笑)。肉に続いてオムレツをなんと2回リピートする次男。よほど美味しかったらしいです。背がぐんぐん伸びているから、きっとタンパク質が必要なんですね(母モードになると、どうして野菜の摂取量ばかりを気にするようになるのか・・・・・・)。

などと言いながら、スイーツになると、自分が好きなもので、母モードはいきなり解除(いい加減)。

山盛りマカロン!

ワッフル+アイスクリームを作ってもらいました。

これが完成図。少なくとも茶色くありません(笑)。

息子達にお店の方が持ってきてくれたのが、これ。うわっ(笑)。まさにGuilty Pleasureですね。

途中で協賛のファッションブランド、Aanyaのファッションショーがあったりして華やいだ雰囲気。Aanyaは、エシカルでボヘミアンなライフスタイルブランドなのだそう。もう一つ、インスタグラムに投稿すると、その場でプリントしてくれるInstaroidというサービスもありました。

ほどよく暑すぎず、子供たちはお腹いっぱいで動けなくなり、私はひたすら心地よい時間になりました。

毎週日曜日12:30~15:30、大人680香港ドル、子供12歳以下は無料(←これはすごい、うちのはもう大きすぎですが、笑)、13~17歳が480香港ドルだそう。6月18日の父の日はクラフトビールも飲み放題のスペシャルメニューになるそうです。

ちなみに屋外なので、悪天候のときは開催しないようです。

 



LKFの新話題店Mercato by Jean-Georgesの極上サンデーブランチ体験




最近、食いしん坊で味にうるさい友達(だいたいフードライターや編集者)が、ここは美味しい!と太鼓判を押すのを良く耳にしていたのが、国際色豊かな話題店が集まって活気あふれるカリフォルニアタワーにある、メルカート。

東京の方はその名前を見て、あっと思うかもしれません。正式名称はメルカート・バイ・ジャン‐ジョルジュ、つまり東京のJG Tokyoと同じ、ジャン‐ジョルジュ・ヴォンゲリスティンのプロデュースによるレストランなのです。香港のメルカートは、ぐっとカジュアルで大皿をシェアするスタイル。しかし1つ1つの料理が見事に美味しく仕上がっているので、人気を博しています。

先日ついに、ここのウィークエンドブランチを食べる機会がありました! 香港のメルカートを率いるのは、アンソニー・バードさん。すべてのメニューがジャン‐ジョルジュの監修の下で作られています。

場所は日曜日のランチタイムながら満席でとても賑やか。周りのテーブルが食べているものを見るだけで、美味しそうで、これは期待が高まります。

さてさて、メルカートのブランチは、前菜、卵料理、ピザ、パスタ、メイン、サイドディッシュ、デザートのメニューがあり、250香港ドルをプラスすると、プロセッコを含むドリンクの2時間フリーフローが付く、という仕組みです。プロセッコにライチとラズベリーを漬けたものや、カクテル、アルコール抜きのカクテルであるモクテルなど、ドリンクの種類が豊富。たとえばカクテルには、キュウリのモヒート、桃のカンパリ、マンゴーのサングリアなどがあり、モクテルにも、パッションフルーツとチリのソーダ、生姜のネグロ二など、工夫にあふれています。
この日頼んだドリンクは、キュウリのモヒートと、チェリーのピンクが華やかな柚子ソーダと、コンコルドグレープソーダ。太陽をしっかり浴びた味わいです。


こちらの料理はイタリアンがベースながら、丁寧に美味しさのツボをついて作られたモダンヨーロピアン、という方が近いでしょうか。

それではさっそく食べた料理を見て行きましょう。とにかくパンを食べれば、そのお店のレベルって分かる気がしませんか。これは危険レベル高い、コーンブレッド風の少し甘味のあるパン。食べ過ぎ注意です。

家族でそれぞれ食べたい前菜を選びました。私の好みは、フレッシュチーズとフルーティーな甘味を組み合わせたもの、私は自家製リコッタチーズとクランベリーソース、オリーブオイルとパンを、長男が1つは、ブラッタチーズとクレメンタインのジャムとバジル。




次男はイカフライのスパイシートマトソースとブラックオリーブ、夫がサーモンタルタルのガーリックトースト。もうこれだけでかなりお腹いっぱいになる、充実度。

卵料理は、オムレツラバーの次男がオーダー。サイドディッシュもたっぷりで、しかもしっかり美味しいので、これだけでもかなり満足感あります。

メルカートのキッチンには、石焼き釜のオーブンがあって、ピザの美味しさが評判です。私たちが食べたのは、スモークサーモンとアボガドのピザ、そしてあちこちのテーブルで注文されている人気アイテムの黒トリュフと3つのチーズ、卵のピザ! アボガドとサーモンは少しサンドイッチ風、このトリュフのピザはとても濃厚な香りと味わい。ふだんは薄めが好きな私ですが、あまりにふわふわに仕上がっていて、これは止まらなくなりました。

この時点でもううごけないほどお腹いっぱい。しかしこの後。あっと驚くデザートが待っていました。
いろんな国でいろんなものを食べていて、なかなかこれが「今まで食べた○○○の中でいちばん美味しい」と断言できるもことって、少ないですよね。これは確実に、「今まで食べた中でいちばん美味しいシナモンロール」でした!!! シナモンロールって、アメリカのショッピングモールのフードコートに必ず専門店があって、辺り一面にシナモンの香りを漂わせているので、つい食べたくなり、よく食べていましたが。これはものすごい完成度。見ただけで美味しさが伝わってきませんか?

もう2 品頼んだデザートは、ジャン‐ジョルジュの伝説のメニューという、ふわっふわに仕上がったパンケーキの自家製ナッテラ添えと、アップルパイ味のスフレのリンゴとバニラアイスクリーム添え。これはアップルパイとアイスクリームという組み合わせが大好きな夫に受けました。

美味しいものをたらふく食べて大変幸せな息子達。

何しろ次から次へと人が来て、大ヒット中というこのブランチ。

キッチンもフル回転。シェフのアンソニー・バードさんとはお話があまりできませんでしたが、1つ1つのしっかり美味しさにレベルの高さを実感しました。

ディナーはまた、全然内容が違うそうなので、ぜひまたうかがわないと!




香港ときどきのロゴが誕生しました by InBetween




ブログをいつも見て下さっている方は気がついたかもしれません!

ヘッダーの頭に、このロゴが登場しています♪

そうなんです。「HK Tokidoki Media Limited」という会社を先日創設しました♪

香港ときどきマカオからもじったわけです。ときどきって言葉には、こうすると深い意味はまったくありませんが、何となく語感が可愛いというか楽しそうかなというのと、やっぱりこのブログがすでに私のアイデンティティーの一部になっているし。もともとは適当に決めた名前なので、不思議なものですねー。

香港では会社を設立するのがとても簡単なので、作るだけなら、私のように永久居民なら敷居がとても低く。お友達に教わりながら、なんとかかんとか自分で設立することができました。

今年はこの会社というベースの上で、いろいろ新しいことを始めたいと思っています!

またそれは準備ができたらお知らせするとして・・・・・・




このロゴ! とても自分らしくできたと、気に入っていまして、評判も上々です。

デザインして下さったのは・・・・・・私の大好きなビンテージショップInBetweenのキンさんとルーさん。キンさんは、もともと売れっ子のグラフィックデザイナーで、その事務所を兼ねているのがInBetween・・・・・・といつも原稿に書いていましたが、InBetween自体のロゴも好きだし、あらゆることが私の趣味にとても合うなーと思っていたので、思い切って今回ロゴのデザインをお願いしてみました。

お願いするにあたって、私からお話したのは、私が好きなのがデザインも文字も、アールヌーボー、アールデコ系のデザインで、日本なら大正ロマン的なもの。でもシンプルでスタイリッシュでスマートでモダンでエレガントで遊び心もある。そんな欲張りな内容でした。

自分の中にもすごーく古風で和風な部分と、もはやどこの国の人だかよく分からない部分があるし、香港も新旧東西が融合していることが魅力の場所ですから、とてもしっくり来る気がしました。

で、最初、何種類かロゴの候補をいただいた中で、当初は男の人の手が描いてあったこれが気に入って。でもやっぱり自分らしくするために、女性にしてもらって、手つきとか、ちらりと見える襟元の感じとか、結構こだわりました。

改めて自分が、カフスシャツが好きなこと、ゆったりしたところに細い手首が出てる、みたいなバランスが好きなこと、などなど、いろいろ気づかされました♪

そして色はやっぱり。紫にするしかないでしょう! 私のテーマカラーですから。

ということで、最終的にこんな風になって、とっても満足。ただいま名刺やレターセットの刷り上がりを待っているところです♪

そしてとっても偶然なのですが。

CNNの記事に使ってプロフィールにもしているこの写真も、InBetweenで撮影してもらいました!私が決めたわけじゃなくて、ここで撮るよーっと撮影チームに言われて、急にその日うかがったので、何だかやっぱり縁があるんですね♪

そんなこんなで、今年の香港ときどきは、ちょっと違うぞ・・・・・・と早くまた報告できるように頑張ります。これからもよろしくお願いします m(__)m




ペニンシュラ東京のSPAにも登場!究極のアンチエイジング「マージーズ・モンテカルロ」のマージーさんとGaddi’sで再会ランチ♪




ペニンシュラ香港に2015年に登場したSPAブランド、マージーズ・モンテカルロ。香港でのローンチのときに、マージーさんにインタビューして記事を書き、体験もさせていただいて以来、香港に彼女が来るときは、声をかけていただいている幸せものです。

今までの記事です!
2015年の記事。私の体験前&後の写真が結構すごいと言われています→ ペニンシュラ香港に登場した超絶フェイシャルMargy’s Monte Carloの記事紹介&体験記♪

2016年の記事。新トリートメント体験も!

ペニンシュラ・スパに登場した香港マダムの新御用達、超絶フェイシャルを香港スタイルに紹介しました♪

香港スタイル「粋」への執筆記事
Margy’s Monte Carlo at The Peninsula Spa(マージ―ズ・モンテカルロ)
ローンチ直後から香港マダムの口コミだけで大ヒット中!
モナコ仕込みの究極アンチエイジング・トリートメントとは

そのマージーさんが香港にいらっしゃる、ということで、今回は香港のビューティーエディターやブロガーさん3人と私、そしてマージーさんとペニンシュラのPRさん2人というメンバーで、名店Gaddi’sでのランチに参加しました。

久し振りー!!と、再会をとても喜んでくださって私も感激。そしてこの日、マージーさんから聞いたビッグニュースが!! なんとペニンシュラ東京にも、マージーズモンテカルロのローンチが決定した!ということで、今回は香港の後、そのまま東京に行って、プレス発表やスタッフのトレーニングなどを行う予定なのだそうです。

2年前にお会いしたときから「日本が大好き!」とおっしゃっていたマージーさん。だからとても喜んで下さっているのが、また嬉しいですね♪

ちなみに東京では香港の7800香港ドルのトリートメントはまだやらないそうなので、東京でトライして気に入ったら、ぜひ香港にも受けに来て下さいませ。驚愕の効果を目の当たりにしますよ。モナコに修業に行った香港のセラピストさんは、ものすごく上達したそうで、今回、マージーさんが彼女のトリートメントを受けて、マージーさんのセラピストの中でも世界最高レベルと認定したそうです。

来ていたメンバー全員が同意したのが、彼女の製品の中でもいちばんのお気に入りは、効果がテキメンで、しかも使いやすい(塗って寝るだけ)の「ブライトネス・リビーリング・マスク」だということ。リピートしていたのが、ちょうど切れていたので、また久し振りに使い始めました♪ 塗って朝起きたときの肌が違います。

さてさて、この日のGaddi’sのメニューも、美の伝道師マージーさんのために、ヘルシーな食材と調理法を生かしたナチュラリー・ペニンシュラの基準に沿ったものを用意したそうです。

Gaddi’sは昨年新シェフのザビエルさんが就任して以来、ますます大人気で、香港のフードジャーナリストの中でも、家族や親しい人との記念日には、ここがいちばん好きと勧める人が多いという存在です。

ペニンシュラでの食のイベントに参加すると、シルバーのスタンドに、こんな名札を作ってくれるのが、とても嬉しいのです。

この日のメニュー! 家に持って帰って来て撮ったので、ちょっとよれよれでごめんなさい。

この日はあいにくの大雨で、遅れる人が多く、皆さん揃うまで、美味しすぎるパンの誘惑との戦いでした(笑)。

まず、アミューズのアボガドから。麗しくて美味しくて瑞々しい。

本当に目で見るだけで美味しさが伝わる、目からビタミン吸収的なプレゼンテーション。新鮮なスコティッシュサーモンは、ビーツで少し赤く色づけされています。添えられているのは、さまざまな旬野菜のピクルス。酸っぱいもの大好きな私にはツボでした。

カリフラワーのスープ! 添えられているのはカリフラワーと、ターメリックのクルトン。カリフラワーの焦がし具合で、まるで花びらのように見えますね。うっとり。そしてバランスがとてもよくて食べてもうっとり。




これは和食に影響を受けた一品。鱈の西京漬け焼き風なのですが、ふんわりした鱈の焼き具合や、付け合わせのスモーキーなマッシュポテトなどとのハーモニーも見事で、いい感じのフレンチに仕上がっていました。

この日、一番感動してしまったのが、このデザート。下に敷いているのはシャンパンのゼリーで、レモンのチョコレートの殻にシプーストのクリームが詰められていて、レモンシャーベットも添えられています。爽やかで目が覚めるような味わい! 横に添えられている葉のようなものまで、ものすごく美味しい!とマージーさんも大喜び。これなんだろうね、と聞いてみたら、蜂蜜を薄くして焼いて、葉のように仕上げた技ありの品なのだとか。

最高にクラシックなインテリアで落ち着いて食べる、モダンで麗しいフレンチ。そして楽しい会話も加われば最強です。

世界のセレブをクライアントに持つ伝説の美容家マージーさん。でもとっても可愛らしいところがあって、香港ではSasaでチープコスメを爆買いするのが大好きなのだとか!

今日いただいたとっておきのアドバイス。私は割と色白な分、シミそばかすができやすく、これでもかと頬にいろいろできているのですが、「これレーザーで取りたいなあと思っているんだけど、どう思いますか?」とマージーさんに聞いてみました。

彼女の目でじーっと観察してもらった後、「レーザーはねえ、私は反対。肌を一層はがしてしまうわけだから、やっぱりダメージがないわけがないし。お勧めできるのは、朝使うファーミングマスクをしばらく毎日使ってみること。肌がしまって、シミができにくくなるから。今あるものから増やさないためには効果があるわ」と、とても現実的かつ実用的!! そして肌そのものを大事にするという彼女の姿勢が現れていて、とても好感が持てました。

先日、ペニンシュラ東京で、美容ジャーナリストの方達へのお披露目があったそうで、とても素敵な会になったとマージーさんの喜ぶ声が聞けました。日本の皆さんの感想を聞くのがとても楽しみです!!

マージーさんは、アラン・デュカスさんと長年のお友達だそうで、後日、東京でベージュに行って来た、と素敵な写真をいろいろ見せてくれました! 東京を満喫してくれているようです♪



 

香港のta vieと銀座のブルガリ イル・リストランテの麗しいコラボを紹介しました




本当に世界中からいろいろなゲストシェフが訪れる香港。中でも話題を呼んだ、このコラボをフィガロのブログに紹介しました。

香港のta vie × 東京のブルガリ イル・リストランテの麗しきコラボレーション

シェフ同士のコミュニケーションから生まれる新しい料理という、ライブ感覚がまた楽しいですね。

上の記事で紹介している、ツブ貝のクラムチャウダーを注いだパスタ。

注いだ後は、こうなっています。いや~美味しかったですねー

そしてティラミスの眼鏡で撮ったセルフィー・・・せっかくだからお見せしましょう(笑)

とても充実したコラボでした。ぜひ記事をご覧下さいませ♪ そして10月のブルガリでの佐藤さんとのコラボ、ぜひご参加ください~私も行きたいものです。やはりホストとゲストで役割が違いますから(やっぱり、せっかく来てくれるゲストの料理を中心にするというのはありそうです)、役割が入れ違うと、また全然違う料理の組み合わせを見せてくれるのではないでしょうか。



心まで温まる滋養たっぷり”Old Beijing Menu”@東来順(~5月末)




先日は昔ながらの広東料理を満喫しましたが、今回はロイヤル・ガーデンの東来順で、昔ながらの北京料理をいただく機会がありました。5月末までの限定メニュー「Old Beijing Menu」です。

以前にキャセイパシフィック航空の「香港スタイル」でじっくり取材をさせてもらい、そのときはこちらの代表料理である火鍋が中心でした。

ロイヤルガーデンの名店「東来順」で冬に嬉しいマトン火鍋!

これがもう、栄養バランスがとても良さそうな、見事な料理ばかり。カラフルで美しくて美味しくて、そして珍しくて、中国料理というのは本当に奥が深く、香港にいるからこそ、いろいろ楽しめて幸せだなあと、しみじみ。

この日はPRさんと地元メディアの記者さん二人と一緒の4人でテーブルを囲みました。

前菜の一つ、春筍と鳥筍。鳥筍って何でしょう。何かの茎っぽくて、ふきのとうのような爽やかな苦みと、さくっ、しゃりっとした食感が柔らかい筍と混ざり合って爽やかさ満点。季節の味を愛でる心を感じます。

こちらも前菜。紫ヤム芋と黒ニンニクのマリネ。まずはすべて天然という色彩の美しさに感動。そして黒ニンニクがとてもいいアクセントになっています。またしても食感と風味のバラエティ、旬の美味しさのハーモニーが最高。繊細に味わえます。

ケーキかと思うような華やかな前菜は、緑豆と桜エビ。すべて東来順が持つ古いレシピからの料理だそうで、緑豆を蒸してから潰して、カリカリに揚げた桜エビを加えて、仕上げたそうで、滑らかで濃厚な緑豆との組み合わせが抜群。

前菜の4品目はマンダリンフィッシュのフィレ。マンダリンフィッシュって、よく四川料理で食べるあれか、と思って、改めて調べてみたら、日本語ではニシキテグリというそうで、極彩色の熱帯魚なので驚きました。スズキ科ということで、柔らかい白身がとても美味しいですから、まさかあんなに派手だとは! ぜひグーグル検索してみてください。

魚のように並べられて、皿の端には野菜でストライプが入ったプレゼンテーションが可愛いです♪ シェフのこだわりがすみずみまで。

さあさあいよいよメインが始まりました。とろりとしたスープにプリプリ海老がたっぷり。

そしてこれは左側の揚げパンに絡めていただきます。面白い! カリっとしたものが、とろとろスープで少ししなっていくあの感じ。なんでこんなに惹かれるのでしょうか(笑)。




出た、ハリネズミ! 出た、松ぼっくり!・・・・・・ではもちろんありません、菊花魚、つまり魚を菊の花のように仕上げたという一品。中身はふわふわに仕上がっている、これもマンダリンフィッシュ、外側はカリカリに揚げられて、スイートサワーソース、つまり酢豚の甘酸っぱいソースが絡められています。たまりません♪

一個ずつ持ってもらうと、ますます松ぼっくりです。

こちらも再びマンダリンフィッシュ! とてもよく使われるお魚なんですね。四川の花椒、つまり日本で言うところのマーラーを中心にした、チリと合わせた、お馴染み感のある料理。見た目ほど辛くなくて、さまざまなチリの風味自体が楽しめるところが好きです。魚がふわっふわで見事でした。

これはエビチリ? と思いましたが、日本のエビチリよりトマトの風味がしっかり出ていました。本当にこちらのレストランでは、いつも海老がぷりぷりに仕上がっていることに感心します。ちょっとイタリアンなパスタを合わせても美味しいかも?

次は、美味しいもの揃いのこのランチの中でも、感動度がナンバーワンだったかもしれない一品。このチキンスープの美味しさが半端ではありませんでした。まろやかにこってりと鶏の出汁が出ていて、それが中に入った麺にじんわり染みこんでいて。相当たくさん鶏を使っているのではないかと思います。冷ましたらゼラチンで固まりそうな。胃の奥底から温まり、それが脳のすみずみから指先にまで達するというような。

そしてこれには、タケノコと緑の野菜が入った餃子が添えられ。浸して食べろっていうんですよ!(笑)反則な美味しさです。

幸せです (単細胞)。

ああ!なんと最初にアップしたとき、一点入れ忘れていました。なんということ!

素晴らしい美味しさの上湯に浸かった野菜たち。この空豆が最高でした。

デザートは好きなものをみんなで注文してシェア。私はいつもの楊枝金露をお願いしました。すっきり濃厚。

シェフの情熱と技がすみずみまで行き届いた、心温まる美味しさに満ちた料理を楽しませていただきました。決して目立つ存在ではないかもしれない、ロイヤルガーデンの東来順。でも本当に香港ではいろいろな店を試してみるべきだなーと改めて思わされる会食でした。

やっぱり香港は最高です(←香港に餌付けされている感が満載、笑)




驚きの連続!! スペインの名店neruaとta vieの斬新なるコラボ




香港に来て食の記事を書くようになってから、世界中から香港にやってくるゲストシェフに会う機会ができ、あちこちに行ってみたいレストランが出来ました。

ただいまその筆頭格なのが、スペインのビルバオ・グッゲンハイム美術館にあるレストラン、nerua。今年はワールドトップ50レストランの56位。来年のワールドトップ50がこのビルバオで開催されることになったそうで、ますます注目を浴びるのではないでしょうか!

さて、このneruaのシェフ、ホセアンさんが香港にやって来たのは、佐藤秀明シェフ率いるta vieとのコラボディナーのため。

ラッキーなことに、このイベントのメディア試食ランチに呼んでいただきました。

そして、それなりにいろいろ食べてきていますから、そう簡単にびっくりしなくなっているはずなのに、このランチには良い意味でびっくりしっぱなしだったのです。

さて、今回のコラボのきっかけは、もともと佐藤さんが10年近く前に、neruaを訪ねて、その料理に魅せられていたこと。そして昨年タイで、世界の有名シェフを集めたイベントにホセアンさんと佐藤さんの両方が参加していて、再びホセアンさんの料理を食べる機会があり、やっぱりすごい、と感服したという佐藤さんがホセアンさんと話しているうちに、じゃあぜひコラボしようと話がまとまったのだとか。

「普通は、どちらかというとシーフードや野菜を扱うことが多いのですが、今回、ホセアンから送られてきたメニューを見たら、シーフードや野菜のすっきりした料理がほとんどだったので、僕の方はバランスをとって、しっかりした肉料理を多めに入れてみました」と佐藤さん。

さあ、それではさっそく、その日にいただいた料理をご紹介します。

5種類のトマトの冷製・・・・・・と言えば簡単ですが。neruaには15万㎡を超える広さの自家農園があって、すべてそこで採れた種類と色の違うフルーツトマトを使い、中にはそれぞれ、ローズマリー、ミントなど、異なるピューレが充填されていて、食べるとパッと口の中で弾けます。

「これは何の味?」「どうやってこれ入れたの?」などなど、テーブルを一緒に囲んだ4人であーでもない、こうでもない・・・・・・。ふむ、いきなり楽しい滑り出しです。トマトが入っているクリアスープも絶品で、たちまち飲み干しました。

佐藤さんは、ホセアンさんの料理の魅力を「潔さ。大胆さ」と語ります。何が潔くて大胆かというと、そのミニマルさ。ついエディブルフラワーを飾っちゃったりしたくなりそうなのに、このシンプルさは。そして深みと奥行きのある味と、それを語り合いたくなる楽しさ。

そうです、クリアスープに浸されたほうれん草。これが少しぬるりとしてワカメのような食感になっていて、びっくりするほど美味しいんです。そしてこの辺から「あれ? この感じ、この風味・・・・・・。このスープはまるで広東料理の上湯っぽい」と感じ始めていました。ほうれん草の下にはアーモンドのブラマンジェのようなものがあって。はい。とてつもなく広東料理っぽいです!!

と、同席の香港人のフードジャーナリストさんたちに言ったら、確かに! よく気がついたね、10年香港にいるだけのことはある、確かにこれは、クコの葉を使った伝統料理にすごくよく似ている、とたいそう褒められて気をよくしました(笑)。

テーブルに届いて、おおっとどよめいたのが、このランゴスチンと紫のソース。なんと18KGもの紫キャベツだけで、ほとんど水も使わず、じっくり煮出したソースなのです。ランゴスチンはまたほどよい感じの火の通り方で、甘味があります。

そしてこの辺でみんなで気付いたこと。料理が皆、熱くもなく冷たくもなく、まさに人肌のような微妙な温度なんです。これって珍しい!

佐藤さんいわく、ホセアンさんには温度へのこだわりが人一倍あるそうで、「キッチンであれだけ、温度、温度ってずっと言っているのは、龍吟の山本さんぐらい」だとか。鮨のシャリの温度を思わせるようなこの感じ。ものすごく個性的です。

そしてこれ。ちゃんと中身を掘り出して撮らなかったので、何だかよく分からなくてごめんなさい。

これもまた面白い1品で、マカオでもよく食べたバカリャオ(鱈の塩漬け)の顎の辺りのゼラチン質の部分とオリーブオイルを合わせて、ゆっくり揺すると自然に乳化するという、バスク地方のピルピルソースなのです。

これも何だか魚の浮き袋のスープを飲んでいるような、超高級広東料理的味わい。




ホセアンさんに「みんなで、すごく広東料理っぽさがあるって言ってたんですよ」と伝えたら、とてもびっくりされていました。だいたい広東料理を食べたことがないそうです。世界の反対側の、まったく異なる国で、自然と似た方向性が生まれているって面白いですねー。

前に食べたけれどブログにし損なっていたHoward’s Gourmetの料理と共通点を感じます。

さあこの辺で、日本&香港代表の佐藤さんの料理を! こちらは豚足で作ったソースがたっぷり染みこんだ牡蛎。肉からのタンパク質とシーフードのミネラル質が不思議なほどマッチするのです。

これは海と山が両方近いために、両方からの幸を一緒に食べることが多く、またゼラチン質を偏愛するというバスク地方の食へのオマージュなのだそう。

甘くて柔らかい新タマネギの中には牛の頬肉が入って、濃厚な肉料理! クラシックフレンチ。

佐藤さんの鳩の炭火焼き。低温でじっくり火をいれてある鳩の美味しさ! 本当に鳩って美味しいんだと香港に来てから食べる機会が増えて、身にしみています。ふきのとうやこごみなどの苦味のある山菜と、インカ芋の甘み、そして、鳩のリダクションソースには胡麻油が利かせてあって、この味は。なんとレバ刺しのソースを意識したんです、と佐藤さん。お見事です。

不思議なほどに東洋的な哲学を感じさせるホセアンさんの料理をみごとにサポートしつつ、しっかりと満足感を覚えさせてくれる素敵な料理でした。

あーでもない、こーでもない、なんだこれは、美味しすぎる・・・・・・と賑やかなランチもいよいよデザートタイムに。

これがまた。ホセアンさんのデザートは。びっくりさせられました。

フェヌグリークという地中海地方で採れるハーブで、カレーのスパイスにも使われる植物をアイスクリームにして、ホイップしたアボガドとカスタードクリームのミックスに、オリーブとコーヒーのパウダーを振りかけたというこの1品。どこからこういう発想が?という美味しさでした。

一緒にいただいたのは、コーヒー通の佐藤さんが、台湾にいる国際チャンピオンのロースターから購入しているという、インドネシアのマンデリンコーヒー。すっきりと幸せな味。

大活躍のシェフたち。中央がホセアンさん、右が佐藤さん、左がホセアンさんをサポートして、英語への通訳をしてくださったNeruaのイナキさん。

佐藤さんにとって、ホセアンさんの料理は「まさに勇敢そのもの。これだけシンプルに仕上げるのには、大変な勇気が必要で、その料理でお客様を満足させ続けているというのは、すごいことです」。

同席したのは人気フードライターのユーさん、デビーさん、香港タトラーのウィルソンさん。ああ、私の胃はどこまで甘やかされるのでしょうか・・・・・・幸せ者です <3

いつもいろいろな旅に連れて行かれるta vieでの食事。この日の旅は、とてつもなく静かなのにあっと驚かされるジェットコースターに乗せられて運ばれたような、狐につままれたような、不思議で癖になるような美味しい旅になりました。

 




5/8からデスティネーショントーキョーで香港ブランドMaseがポップアップ!




先日お友達の紹介で、お会いした香港人デザイナーのメイ・クワンさん。

この方です。

Maseというオリジナルデザインのブランドをやっているメイさん。写真の斜めがけにしているミニバッグは、ストラップなしだと、大きめのお財布としても使えるそうです。太くて鮮やかな皮のストラップ、すごくいいですよね!

今日から17日まで、新宿ルミネにあるデスティネーショントーキョーでポップアップを開催するそうです。

彼女のインタビューやオリジナルバッグをフィガロのブログに紹介しています。

東京でポップアップ開催が決定! 香港ブランドMaseとは

ぜひご覧の上、お立ち寄りください。今回はご本人は残念ながら現地には行かないようですが、秋には東京にいけるかも、とおっしゃってました♪




実はあまりに気に入ってしまって、お買い上げもしてしまいました。

こちらはトート。昨日出かけたときに使ってみました。ミラーレスと替えレンズも入れてもまだすっきり見えて、意外なほど収納力があり! メイさんはノートパソコンも入れているそうです。色味的に私の好きな色合いに合うし、シンプルなスタイルで持つとすごく映えますね-。持つのが楽しいバッグです。

これはシンガポールの風景。実は結局、こちらはいただいてしまったので、もう一つ、大澳の風景のバッグをお買い上げしました。

これです。この写真はメイさんの後ろ姿。紫好きな私にはたまりません。

いくつも欲しくなってしまうものばかり・・・・・・危険です!!!

ぜひフィガロブログをご覧下さい。




 

 

ライチーコクの大公館で古き良き香港の味を楽しむ(~5月末まで)




先日、久し振りにライチーコクの大公館の広東料理店萬慶での、期間限定の新メニューの試食に招かれました。

いつも本格的で美味しさに間違いのない店での、今回の新メニューというのが、「昔懐かしい広東料理」を揃えたというもの。昔の料理を知らない私にとっては、その古さが斬新に感じますから、ものすごく楽しみな内容です。

さてさて、なぜ昔の味が消えつつあるかというと、たいていは「下ごしらえにも調理にも、手間がかかり過ぎる」という理由だとか。なので、この日はメディアを招いてたくさんのアイテムを一気に作るということで、キッチンにも緊張感がみなぎっていたようです。

まずは点心から!

お馴染みの粉果!豚肉、クズイモ、潮州の干しオリーブ橄欖菜という組み合わせ。ふむふむ!美味しい!

少し透き通った粉果の皮が美しく作られていて、腕の良さが分かりますね。

この辺からは、蓮香居や蓮香樓の飲茶で食べたことがあるかも、というのが続きました。やはり古いスタイルなので、他で食べられないよ!とよく言われたのは本当だったんですね♪

実はこの辺、ものによってはもう手間がかかりすぎて、一品料理のかなり後に出てきたりしてました。左から鶏肉、茸、叉焼豚、海老、うずらの卵が入ったパン、ダックとポーク、タロ芋の湯葉包み、鶏肉と魚の浮き袋の蒸し物などなど。いや、すごいです。

さあ、いよいよ一品料理!これは鴨の脚肉を叉焼豚と鶏レバーでくるみ、蜂蜜ソースをつけて焼いたもの。ずいぶんいろいろな食材が入っています。昔の料理はレバーがよく使われていますね。日本だとレバーは鉄分豊富で体にいいと言って食べていた気がするのですが、香港だとカロリー高くて太る安い食べ物というイメージのようです。私はレバー大好きなので、この手のものは大歓迎!

豚の肺のダブルボイルドアーモンドスープ! 実は最近アーモンドアレルギーになってしまったので、これは食べられず(涙)

これは以前に唐閣とか、いくつかの場所で食べました、コインに似ているので金錢蟹盒なのですね。豚の脂で具を包んで揚げるそうなのですが、これまたとても作るのが難しいそう。

鴨のマリネを揚げて、パンケーキに包んで食べるもの。副菜についていたマンゴーの甘みがとても合いました。ちなみにマンゴーを合わせるのは、昔ながらではなく、やはり今の時代に合わせて少しアレンジしているそうです。

おお、次に出てきたのは、鶏の丸焼き? と思いきや。




餅米がたっぷり詰まってます! 鶏の骨はすべて取り除かれていて、まるでイカめしのようですが、これもきれいに取り外して形を保つの、難しそうです!! 子豚の丸焼きにご飯が詰まっている料理は前にChina Tangで食べたけれども、鶏は初めてみました。干しエビも入って、ご飯に出汁が染みこんで最高でした。この日のナンバーワン候補。

そしてこの日のもう一つのナンバーワン候補。相当遅れてできたので、よっぽど手間がかかるのでしょう。魚の内臓と、卵、豚挽肉、陳皮を使った、まるでキッシュのような一品。材料を聞くと???と思うけれども、レバーの風味がそれほど強くなく、ほどよく生かされていて、驚きの美味しさでした。
この写真をFBに出したら、香港人の友達から「おばあちゃんがよく作ってくれた、懐かしい!」など、飛び抜けて反応がありました。古い順徳料理なのだそう。

これまた、凄まじい手間暇のかかった料理らしく、デザートより後に出てきたので、食べていない人が多くて、思わずお持ち帰りさせてもらった一品です。

魚は、羅富記のフィッシュボールに使われていた綾魚の中を完全にくりぬいていて、実は魚肉と豚肉の練り物が入っているんです。

中身の写真、痛恨のぴんぼけなので小さく。ふわふわしてとても美味しかったです。しかしこれをキレイにくりぬくだけでも大変でしょうに!!

これはなぜかコースの途中で出てきた揚げミルクカスタードロール。デザートっぽいので、食事の途中に食べるのはぴんとこなかったものの、味はとってもよかったです。

そしてデザートも絶品!中でも印象的だったのが緑の、さとうきびゼリー♪ 公利のよりもさらに濃厚でした。

人数は相当いましたが、はい、ものすごい量でした! この日はまだメニューが始まったばかりだったため、キッチンスタッフがパニックっていたようでした。今は皆さん慣れたのではないでしょうか。こういう大変なことをわざわざチャレンジする心意気がいいですね。

このメニューは5月末まで。アラカルトもありますし、5/13と14は母の日セットメニューになるとか。きっと「わー懐かしいわ」という歓声があちこちでわくのではないかと思います。

ちなみに、ぜひ期間終了後もやって欲しいと聞いたところ、全部は手間がかかりすぎるので無理だけど、好評なメニュー何点かは継続するかもしれない、とのことです。

明らかに今よく出される料理とは違う、今聞くと不思議な組み合わせだけれども、しっかり美味しい料理達。堪能させていただきました!




 

 

 

伝統と革新雑考ーメイ・チョウさんの新店Happy Paradiseとジュエット・ユーさんの口利福をフィガロに紹介しています




ただいま発売中のフィガロジャポンの「やっぱり大好き、おいしいチャイナ」という東京の素敵なチャイニーズレストラン特集がありまして、その最後に、香港の最先端情報をちょこっと書きました!

 

担当編集者の方が中国料理全般にとっても詳しい(香港通・・・・・・私のブログにもよく登場されてますよ! 最近では天香樓とか)ので、四大料理の説明とか、点心の種類など渾身の内容になっています。

とりあげたのは、リトルバオセカンドドラフトが大人気で、先日はアジアベスト女性シェフに選ばれたりして、とにかく大活躍のメイさんの新店、Happy Paradiseと、大人気が続くモダンなチャイニーズ、口利福。二人に久々にじっくりインタビューして、立て板に水のごとく、広東料理の伝統に革新を取り入れる上でのバランスや香港への思いを明晰に語ってくれるその様子からして、ああ、やっぱり二人は新世代のチャイニーズシェフ筆頭だな、と感動しました。

相当早い時期に取材したので、Happy Paradiseは撮影した一品しかまだ食べていませんが、これがもう。久し振りに、かぶりついて理性をなくし食べ尽くす、野生モードにスイッチが入る美味しさでした。

記事ではあまりスペースがなくて詳しくかけなかったのが、このハッピーパラダイスのコンセプトを。

これがバーカウンター。「え?これが広東料理店???」と思わされる、ぶっ飛んでキッチュでファンキーな雰囲気。そして出てくる料理は、古い広東料理に新しい調理技術を加えた進化形。メイさんの言葉をそのまま使うと「大班楼Belonと出会った」。両方大好きな店なので、これはもうツボに間違いありません。

このインテリアと料理の奇抜ともいえる組み合わせ。近年の大活躍で知名度が上がった今だからできる冒険で、バーテンダー、シェフ、デザイナーなど感覚の合うクリエイターが集まってくれて、彼女のやりたいことをしっかり網羅しているそうです。

ちなみに私を野生に戻した料理(笑)、黄酒鶏。写真は自分で撮っていないので、ぜひ記事を見ていただきたいのですが、基本の伝統料理は、このフィガロブログ(アジアベスト女性シェフが腕を振るった「盆菜」を味わい尽くす)に前書いた、盆菜のときに、元朗屏山村の伝統メニューで、たっぷりの酒粕の下に鶏が隠れている一品があり、それにインスピレーションを受けたそう。

しかし、そこに真空調理などの西洋の技術を加えて、鶏の部位によって温度を変えて最高の味を引き出すという工夫をしています。



ああ、早くしっかりここで食べたい・・・・・・

そして口利福! 2014年のオープン直後にシェフのジュエットさんにインタビューして以来、しっかりと話す機会がなかったので、その後どんな風に進化しているのか、どう考え方が変わったりしているのかをうかがいたくて、インタビューを申し込みました。

なぜか取材場所は同じBlacksheep Groupがやっていて、元は口利福にいたバオ・シェフが率いているLe Garcon Saigonに来てね(ジュエットさんはバオさんと大の仲良しで、よく手伝っているんです)とのことで、こんな記念写真も。たばこを吸う不良の鳩がお気に入りなんだそうです(笑)

ジュエットさんにも面白い話をたくさん聞きました!

中でもなるほど、と思ったのは、「広東料理の中でも、焼味系のものは完成されていて、何もいじる必要がない」。ひねった今風の料理専門と見られていた彼の豉油雞が、伝統の味を守った素晴らしい美味しさなことは、彼の評価をますます高めたと思います。

先日22 Shipsの記事のために取材した、ジェイソン・アサートンさんも、香港でのお気に入りレストランは口利福とリトルバオだそうで、やっぱり目利きには彼らのシェフとしての考え方や、リスクを恐れない確固たる姿勢が見えるんですね。

ものすごく偶然だったのが、この数日前に、Amberのリチャード・エッケバスさんとシドニーのSepiaのマーティン・ベルさんのフォーハンズディナーの取材をしていて、マーティンさんが長年Tetsuya’sでヘッドシェフをしていて、ジュエットさんはマーティンさんの下でシェフとして働いていたという話を聞いていたこと。Sepiaを紹介するブログ(「フォーハンズ」大流行中!AmberがシドニーのSepiaと競演)にそれを書いていました。

そしてこの日、まさに、ジュエットさんがどのように斬新なメニューを、広東料理、フレンチ、日本料理の基礎を身につけた頭で組み立てるのかという例として、数日前にメニューに掲載したばかりの、ホタテ貝の料理の話がでました。

これはどうしても紹介したい、と思い、「今日、ハッピーパラダイスで料理撮影をするんだけど、その後、できたら口利福でその料理の写真撮らせて!」と、無理なお願いをジュエットさんにしたら、即座に快諾。こういう風に、こちらが熱意をもって接すると、柔軟に対応してくれるシェフ、大好きです。

とはいえ、カジュアルな構えとは言え、毎日行列ができることで有名な口利福の大混雑の時間帯に、店の隅っこで照明を立てて撮影までさせてくれたことに改めて大感謝しています。

左は真っ暗ですが、店の隅で撮影中の風景。右は、合間に撮影用のカクテルを、名物の金の招き猫に無理強いする私(笑)。私の酒が飲めねーのかーってw

伝統をリスペクトしながら、新しい食材や調理法を取り入れるには、基礎がしっかりした上でのバランス感覚がものを言う、とお話してくれたジュエットさん。

先日、まったく違うところで、見事にその言葉がシンクロしたのです。

ライターとしてではなく、通訳として、ときどきWynn MacauのMizumiのお手伝いをしています。札幌のすし善の嶋宮勤さんが、こちらの店のコンサルティングをしていて、先日1年ぶりに、香港とマカオのメディアの嶋宮さんへのインタビューの通訳をお手伝いしました。

前回お会いしたときにも聞いて感動したセリフが今回も聞けました。

「伝統に固執しすぎると、伝統が膠着してダメになってしまう。時代が変われば人も変わるし、手に入る食材も変わる。それでも伝統をきちんと理解していれば、革新を加えることで、伝統を守って行くことができる。伝統は革新があればこそ、続いていくことができるんです」

寿司の世界と広東料理の世界でも、70歳を超える名人でも若きシェフでも、同じ考えに至るんだ、と気づいて鳥肌が立ちました。

インタビューが終わったので、香港に帰ろうというところで「えーもう帰っちゃうのー?」と見送って下さった嶋宮さん。偉い方なのに、いつも優しくて面白くて頭が柔軟なんです! 何歳になっても革新が続けられる精神を見習いたいと思わされる、素晴らしいロールモデルです。

かっこいい若いシェフたちだけじゃなく、広東料理界でも、超ベテランのシェフは、新しい食材を使ったり、調理法を考えたりすることにとても熱心です。ワンハーバーロードの李シェフ、天龍軒のラウシェフ、唐閣のコンシェフなど、活躍しているシェフたちはみな、インタビューで料理の話をすると止まらないし、最新の店を食べ歩いたり、ネットで食材のサーチをしたりしながら、革新を常に続けているのです。

今回のフィガロの記事は短いものですが、取材中、とても色々考えさせられ、今の香港の広東料理についても頭が整理されました。よかったらぜひ本誌もご覧下さい!




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