リンキンパークと香港の学級委員達




基本的に洋楽&ロック好きなので、香港に来てからも年に数回はいわゆる外タレのコンサートに行っています。ここ1年はRed Hot Chili Peppers、Linkin Park、Evanescence、Maroon 5に行ってきました。

香港でコンサートに行くたびに面白いなと思うのは、同じ国の中とは思えないほど、ミュージシャンによって客層がはっきりと分かれること。

今まで行ったコンサートで、例えばTears for Fearsなら、いかにもイギリス人の40~50代超の男性が多く、Keaneはヨーロッパ系でティーンの子供連れが目に付きました。一方Craig Davidは意外なほど香港人の男女ともにヤンエグ(死語?)風が主で、香港人女子の黄色い声が響き渡っていたのが印象的。老若男女と人種がきれいに分散していたのはAdam Lambert、おそらくこのコンサートを見るためにわざわざ香港まで来ていたらしい台湾やシンガポールの人が多く目に付いた&小中学生も多かった&歓声はなぜか野太い男性の声が大きかったのはMaroon 5、などなど観客ウォッチングが習慣になっています。

また、ミュージシャン側の取り決めも毎回異なります。日本と比べて撮影にうるさくないのが香港では一般的ですが、一眼レフ+三脚+巨大な望遠レンズを堂々と客席においてキャーキャーいいながら撮影している女性がいるかと思えば(Craig David)、入り口で一眼レフだけが禁止ということでバッグの検査をしたり(誰だったかな)。

そんな中で、続けて行ったこともあって、その対照的な様子に驚かされたのが、レッチリことRed Hot Chili PeppersとLinkin Park。

ビール片手にご機嫌な人が多くて、欧米人比率が6~7割、緩くて自由な雰囲気と、(この人達、お酒じゃないもので盛り上がってないか?)みたいな面々もいなくはなかったけれども、とにかく明るいレッチリ。

一方で、8割以上が10~20代香港人ではないかというLinkin Park。香港で私が行ったコンサートの中でローカル率が最大。アルコール持ち込み禁止でしっかり入り口で検査され、何だか整然とした印象。とにかく黒い髪に黒縁眼鏡がずらり(香港の若者に多いスタイル)。前列がモニターに映ると「おー学級委員長達、今日は思い切り盛り上がってるなあ」とつい思ってしまいます。

昔ながらのハチャメチャなロッカーと、ある程度管理された中で楽しみたい今時の真面目なロッカーの違いなのかな、などと勝手な想像をしつつ、ふと思い出したのが、子供を連れていった香港政府主催の健康診断でのこと。




「ママ―、なにこの質問?」

当時は8歳~12歳だった3人の子供が「絶対答えてね」と渡された質問票を見て、目を丸くしています。え? なになに、と見ると、もう出るわ出るわのすごい質問のオンパレード。

「両親は私をダメな人間だと思っている」

「いくら頑張っても親に誉めてもらえない」

「自分のことを親身に心配してくれる人はこの世に誰もいない」

「生まれてこなければよかったと思う」

「自分の体をわざと傷つけたことがある」

「死のうと試みたことがある」

親への質問票も「子供への過大な期待と愛情不足」を測るような質問が確かにありましたが、とにかく8歳の息子への質問までがこんなのばかり。

実際に悩んでいる子が親と一緒に検診を受けて果たして正直に答えるかどうかは別として、学校教育が非常に厳しく、幼稚園から試験続きのスパルタで、競争が激しい中、親も教育熱心で過熱気味、小学校低学年がプレッシャーに耐えられなくて自殺してしまったり、などという問題が香港にあるとは聞いていたものの、質問票の赤裸々な文面はかなりショッキングでした。

そこで流れた、Linkin Parkの大ヒット曲「Numb」。まさに親の過剰な期待に反抗して自我に目覚める若者の心情そのもの! こういう曲に心を寄せることで、救われる子がたくさんいるのかもしれないな、「ブラック・スワン」の彼女もNumb聞いて発散すれば呪縛から逃げられたかも知れない・・・・・・。

思い込みかもしれませんが、「Linkin Parkによる学級委員達の解放」に1人納得した夜でした。

(ちなみにレッチリもLinkin Parkもコンサートは最高でした、笑)




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