すごく気に入っているので、雑誌の特集などに推薦して、何度も撮影や取材をしていたりするのに、ブログに紹介し損なっている店って、実はたくさんあるのです。
その代表的な一軒が、このGough’s on Gough。去年のフィガロでも今年のハナコでも紹介しています。
怪しい潜水士とピラニアのいる水槽が目印です♪
私の場合は、元々こちらのオーナーであるティモシー・オルトンさんのファンでして。昔、スターストリートエリアに主にバッグを扱うブティックを出していて、そこでよく物色していたのです。
昨年の春に彼にインタビューさせてもらって、その時に「実は隣にレストランをオープンするんだよ」とまだ作りかけのところを見せていただいたのが、そもそもの出会いでした。
こちらがティモシーさん! 英国の骨董商の家庭に育ち、ご本人も骨董商をしていましたが、途中から自分で家具をデザインするようになったそう。長年中国本土に自分のこだわりを形に出来る家具工場を持っているので、香港にも中継地点としてよく訪れていて、意外にもアジアにしっかり腰を据えていらっしゃるのです。こちらは同じ歌賦街にある、アンティーク店RAW。こちらもものすごく目の保養になるお店ですので、また別途ご紹介します♪
彼のコレクションしている骨董品は、古さの中にエイジレスな先進性を感じさせるものばかり。そんなテイストがオリジナルデザインにはさらにパワーアップして発揮されていて、古さと新しさ、優雅さとワイルドさの融合具合が、もうキレッキレの絶妙なバランスで、世にも珍しい麗しさにまとまっているのです。
香港って東西と新旧の融合が魅力の場所ですが、彼のデザインはそれから「東」の要素を抜いて、「新」の部分に磨きをかけたような。重なる部分があるせいか、香港の街によく似合うんです。
さて。言葉でばかり説明している場合ではありません。まずはその冴えたデザインをお見せしましょう。
すべてがティモシー・オルトンのデザインとアンティークの組み合わせ。優雅でロマンチック!という印象ですが、甘くなり過ぎないのは、シャンデリアの上にある、ハードなスチール製レールとボクシンググローブが醸し出すインダストリアルでマッチョなエレガンス。この発想、本当に驚かされました。
これだけの質のアンティークをたっぷり使いながら、どこか肩の力が抜けていて、向かいの建物も窓もインテリアの一部になっているような溶け込み方。
大理石の幾何学模様や打ちっ放しの天井も、不思議な世界観の大切な要素。
ここに似合う花は赤い薔薇、一択。
このムードには、19世紀の博物誌標本的なデコレーションがまた似合います。この壁は鳥の羽!
このコーナーはまさに博物誌のムード。遠い異国のエキゾチックな動物たちに憧れた冒険家の夢と浪漫が溢れています。そしてティモシーさん、ルイ・ヴィトンのケースのコレクターでもあるのです。マンダリン・オリエンタルとのコラボで開催されたアフタヌーンティーの時も、たっぷり飾られていましたね。
大理石を透かして照明をするとこんな幻想的になるなんて。子鹿のマークが目印のBabychamのビンテージグラスでいただくシャンパン!
ボクシングを思い出させるマッチョエレガンス。さまざまな素材が使われています。
カウンターもいいけれども、ゆったり座って食事をしたいならテーブルですね。
食器もすべてアンティーク! 昔、香港からヨーロッパ向けにデザインされたBlue Willow(青い柳)のお皿。
こんなに独自の世界観を持ち、こだわり抜いた空間にふさわしい料理。それはやっぱりモダンブリティッシュ! 長くなるので、2回に分けますね。料理編、どうぞお楽しみに♪