このブログで3年前に書いた記事に今も毎日多数のアクセスがあり、日本人の方からの関心が根強いのが、粵東磁廠。
1918年創業で今年が90周年! 取材で何度かうかがい(香港スタイルの記事の紹介はこちら)、3代目オーナーのジョセフさんに話をうかがうたびに、廣彩への深い愛と、職人の高齢化と後継者不足の悩み、廃業への危機感がひしひしと伝わってきて、どうにかならないもんなのか、と感じさせられていました。
粵東磁廠は、香港地元メディアにも、香港伝統の技を受け継ぐ店として、頻繁に登場しているのです。これが途絶えてしまわないように、お金持ちの多い香港、誰か私財を投じる人がいないのか、いや、政府が保護するべきなのでは、などなどいろいろ感じていました。
そういえば先日は、この粵東磁廠が受け継ぐ絵付けの技術が、美術大学のコースに組み込まれたというニュースを聞き、明るいニュースが増えてきた?と思ったところで、今回の展覧会です!! とても嬉しくなりました。
お馴染みのタイムズスクエア前広場。いつもは派手なキャラクター系の展示が多い中、今回のような落ち着いた硬派な内容は珍しい。でも老若男女問わず、どんどん人が入って行きます。
今回展示されているのは、お店で所狭しと置かれている商品とは違う高品質のものばかり。取材中に広東風の絵付け、廣彩の話を聞いているときにサンプルで見せて下さったものも、ちらほら。ヨーロッパへの輸出用に開発されたカントンローズを始めとする華やかな柄たち。初めて見た頃は、派手だなー!色遣いもすごいなー!とびっくりするばかりでしたが、もうすっかり愛着が湧いています。日本の伊万里だったら赤と青!のところがピンクと緑!なんですねー。
遠い異国で人々がどんな暮らしをしているのか、という好奇心から、ヨーロッパでとても需要が高かったというスタイルだとか。繊細なタッチが華やかさを引き立てています。
こちらもお馴染みの柄ですね♪ 器の形も花になっていて、なんて美しい。
多数の龍が舞っている珍しいこの柄も、香港らしいですね!翡翠っぽいグリーンがまた何とも言えず素敵・・・・・・と思ったら、清朝の時代の柄を再現したものだそう。
こちらもとても人気の高い鶏柄! もう一つ人気のキャベツというか菜心?柄も組み合わされていて面白い。
お馴染みのレンゲも、ほとんど見ることのない繊細なデザインも。
写真を撮るのを止められなくなっていました。
素敵なティーセット! 普通より緑が多めのカップ、逆に緑が少なめのソーサー、それぞれいい感じ。
こちらは、焼く前と焼いた後! こんなに色が違うんですね。
こちらは縁だけが廣彩風になった珍しいデザイン!
さてさて、もちろん粵東磁廠の歴史を見せる展示もありました。
今回の展示の中でも、メインと言えるのが、壁一面に並べられた皿たち。廣彩の代表的なデザインと、粵東磁廠が過去に請け負った注文の珍しいデザインを紹介しています。
いくつかご紹介しましょう。
この辺りは、ザ・廣彩! なかなかこんなに精緻なものは見かけません。
切りがありません(笑)。この辺はあまり見かけないけれども、蝶の柄はこの今回の展示に多いですね。黄色と紫遣いがモダンに見えます。
お馴染みの鶏や金魚! その辺に売っているのは、よく輪郭と色がずれていたりしますが(スタンプとか使ってるんでしょうね)、こちらはもう完全無欠。
植民地時代を彷彿とさせるデザインもいろいろ。
貴族や王室の家紋を入れる注文もかつては多かったよう。
今回気に入ったお皿がこれ。色もデザインもまとまっていて、シンプル&ゴージャス。ジョッキークラブからの注文品だったそう。写真の構図は、フィガロの「24時間、香港中毒」で撮ってくれたアマンダに影響されています(笑)。
そして粵東磁廠と言えば、なコーラル・クレスト。別名ペニンシュラの柄。前に取材でうかがったように、左がオリジナルのマックリホース提督夫人柄なのです。そこはかとなくて可愛らしい。
などともうネタバレのように展示の紹介を初めてしまいましたが(笑)、お見せしたので半分ぐらい? 1/3ぐらいでしょうか。
展示からいろいろと学べるようにもなっています。
粵東磁廠の歴史も。
会場奥には、ビデオでの粵東磁廠の紹介とジョセフさんのインタビューが流れていました。
ハーフウェイコーヒーのトミーさんもすでに訪問したようで、この前で写真を撮っていたのをFBで見て、私も真似してみました♪ 壁紙とかにもできそうですね。
外の壁もこんな風にパネルになっていて、バックライトで柄がきれいに見えるようになっています。
作品への愛を感じる展示方法で、決して大きくはないですが、気分良く楽しむことができました。ぜひお金持ちか政府が保護して、常設の博物館でも作って欲しい&後継者が来るような対策を練って欲しいものです。
21日までなので、そのタイミングで香港にいる方は、ぜひ足をお運びください。
どうしても無理という方は・・・・・・粵東磁廠に行って、ジョセフさんに話しかけて、廣彩のことをいろいろ聞いていると、結構自らお宝を出してきて見せてくれたりしますよ(笑)。興味を持ってもらえることが何より嬉しいそうです。