Quinaryで香港のバーシーンを変えたアントニオさん、香港でコンセプトの異なるさまざまなバーをやっていて、どこも人気を博しています。
その1つ、VEA Loungeは、レストランとして評価の高いVEAとペアになっているバー。名前もシェフの”Vicky et (and) Antonio” という意味なんですよ。
VEAの料理と同じく、こちらのカクテルは香港の食文化を取り入れたものが多いのです。
先日試して来た2019年のサマーカクテル、キレッキレにクリエイティブで美味しくて麗しい!
夏にぴったりなジントニックに金柑を合わせた、その名もKamquatは、ロンドンドライジンがベース。金柑のロリポップをあしらっていて、すっきり爽やかです。
誰もが大好きな香港デザート、楊枝甘露をカクテルにしたMango Pomelo。マンゴー、パイナップルと八角の風味だけを抽出して、ココナッツクリームのキャビア、バカルディのCarta Blanca(ラム)と合わせ、ピンクグレープフルーツのほぐした実を冷凍して添えてあります。楊枝甘露そのものではないけれども、食べた時の食感や風味をカクテルで再構築していて、デザート同様幸せになること確実♪
そしてサマーカクテルの主役はこのDusk to Dawn。サイフォンを使ってドラマチックに目の前で作られていくカクテルです。
エレガントに飾られたニンジンやキュウリ、生姜などの野菜たち。サイフォンにはロンドンドライジン、イエローシャルトリューズ、烏龍茶、ジャスミン茶などとバタフライピーを使って紫に染めたカクテルが!
上に昇って行くカクテルとドライアイスの煙で、何だか魔法使いの研究所状態です♪ ワクワク
グラスの氷は、ピンクがクコ、イエローがリンゴとエルダーフラワー、白がレモンを使っています。だから溶けても味が薄くならず、混ざり具合で微妙に風味が変わっていくのが楽しめます。
さあ、出来上がったカクテルを注ぎましょう。
これがもう文句なく美味しい! サイフォンに入った野菜たちの味がちゃんとアクセントになっていて、バランスがとてもよく、すっきり爽やかに仕上がってます!
まだまだ面白いカクテルが続きます。これはZong Zi、つまりなんと「ちまき」なんです。蓮の葉を漬け込んだウォッカをベースに、卵白フォーム、お米や塩漬け卵の黄身などを添えて、狐につままれた気持ちで飲むとなぜかちまきっぽいという、再構築系カクテル。遊び心たっぷり。
こちらのPu-erh、つまりプーアールは、見た目はまさにプーアール茶。ビーフイータージンと蒸溜したプーアール茶、レモン、陳皮、タイムを使ったプーアールベースのカクテルなのです。新しい味のバラエティを加えて、プーアールの美味しさがさらに強まっています。
チャイナテイストのカクテル、「チャイナテイストにするんだ」と言うこと自体を追求し過ぎると、カクテルとして特にどうなのよ、これは?という味になってしまうこともありますが、今回のカクテル達はもう、完全にそれを超えたセンスのいいものばかり、そして夏にぴったりの味ばかり。
こちらのバー、スナックはすべてVEAのシェフ・ヴィッキーのデザインですから、またこれが美味しいのです。
スモーク濃厚なウズラの卵・・・半熟具合がまた絶妙でした。おつまみに最高。
これはヴィッキー風お好み焼き。正直、普通のお好み焼きよりこちらの方が好きです、笑。癖になります。
VEAレストランに比べて、やや控えめなラウンジですが、こんなに美味しいものだらけで、落ち着いて過ごせる穴場的空間です。ぜひサマーカクテル、試してみて下さい。
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