フォーシーズンズの龍景軒と言えば、中国料理で世界初のミシュラン三つ星をとり、そのまま9年連続維持しているという香港随一の有名広東料理店。
日本からの取材でも、こちらからお勧めするときもあれば、「ぜひ龍景軒を取り上げたい」というご希望をいただくときもあって、かなり頻繁に仕事でうかがっています。最初は人見知りっぽかった陳恩徳シェフも、最近「おーまた来たね」とニコニコ迎えてくださるようになりました。
そんなことから、ぜひ今度、家族全員で食べに来てと招待してくださったときは感動! なかなか三つ星の味を子供たちに味わってもらえる機会はないですし。
ということで、張り切ってうかがいました!
実は台風前夜という夜。不思議に静かでいい雰囲気だったりします。ハーバービューも美しい。
テーブルには陳シェフが作ってくださった、この日のメニューが!!ワクワク。
この日はソムリエのバーナードさんが、私たちをもてなしてくれました。デカンタからついでくれているのは・・・・・・
最近、評判の中国本土産のワイン。中国本土というだけでつい偏見を持ってしまわれがちなのですが、何しろ広い国ですから、ワインにぴったりな気候や土壌に恵まれた地域があって、ヨーロッパ仕込みの技術を持ち込んで、資金力もいかして、最近がんがん国際的な評価を高めている銘柄が色々あるのです。
香港のソムリエやシェフが最近取り入れつつあるので、機会があればぜひお試しください。
アミューズブッシュ的に出てきたのは、海老雲呑のミニスープ。さーごちそうの始まりです♪
そして前菜盛り合わせ。叉焼豚だったり春巻きだったり。
そしてスープ!!!これがもうトロントロンとしたコラーゲンたっぷりなチキンと上湯のスープに、極細に刻んで切った鶏肉やキクラゲなどが入っていて、食感のアクセントが効いています。飲んでいるだけでコラーゲンで肌がきれいになりそうな美味しさ。
この辺りでワインの赤が注がれ始めました。
ボルドーのバイオダイナミックワイン、シャトー・ミラボー! 爽やかめな赤が最近好きです。
ここで息子達もワイン、じゃなくて、クランベリージュースをデカンタから注いでもらって気分を味わいました。このサービス、家族連れに好評なのだそう!
ぷりぷりの海老に、それぞれが異なるシャキシャキ感を持つ、グリーンアスパラ、百合根、蓮の実の炒め物。シンプルだけど、家庭ではなかなか再現できない、この潔い炒め物。
家族から大好評だったのがこれ。シーバスと茄子にアワビのソースが絡められています。濃厚なソースが茄子とものすごく相性がよくて、たまりません! やっぱり一流の広東料理天のソースはもう、技と美味しさとバラエティがすごくて感動します。
そしてやって来ました! 艶やかに焼き上がった北京ダック!
手際よく北京ダック解体中。
さすが三つ星。過保護にされて、すべてやっていただく方式(笑)。皮と肉がパンケーキに載って出て参りました。これは待ち時間が長くなって肉も冷める気がするので、自分でやってもいいかなーと思いつつ、美味しくいただきました。
さあ北京ダックの肉を使って炒飯だ!と思ってから、気がつきました。前にシェフが開拓した面白い食材の例として挙げてくれた、炒飯風でいて実はパスタという一品です。Puntaletteというパスタとダックを、XOソースとともに炒めています。ご飯よりもさらに軽やかな噛み心地。
そして野菜も肉も、普段いい加減に食材を家で切っている自分からすると、鋭く迷いなく正確に切ることが、最高の味を引き出すのにいかに大事かということを教えてくれます。断面が違うと味が全然違うんですね。陳シェフは、スープも食感も、バラエティをいろいろ楽しませてくれる名人です。
そして私の愛する楊枝甘露も、ほら! 見ただけでこれはただ者じゃないと分かる濃厚な美味しさ。さすがです。
最後はプチフール! 大好きなクコとキンモクセイのゼリーがゴージャスに。
素晴らしい食を体験できてラッキーな子供たち。ぜひこの味をしっかり覚えておいて(笑)、将来何かの肥やしにしてもらいたいものです(笑)。