懐かしのフラワーマーケット

「いま手に入らないものを過剰に求めない」というのが、長期にわたって海外で生活していた私なりの処世術でした。前の土地に未練たらたらで新生活を送るのが嫌で、少し無理やり心に蓋をしてしまっているのかもしれません。東京にいる今、日本ではまず食べられない本場の叉焼豚や点心などもちろんとっても食べたいですけど、普段はあえて考えず、香港に戻った時にだけ心の蓋を全開にしています。

しかしここに来て、香港の想定していなかった場所について、東京にあればいいのに~と焦がれてしまうようになりました。それがタイトルにあるフラワーマーケット。

「マーケット」といっても一か所の市場ではなくて、MTRの太子駅から5分位のエリアに、延々と園芸店が並ぶエリアです。ちゃんと数えたことはないけど、大小さまざまなお店が100軒以上はあるのではないでしょうか。

↓本当にその時々で、ありとあらゆる植物に出会えます。品質はどうしても日本と比べると大雑把なところはあるようですが、大らかなのが香港らしさ。

↓蘭はやっぱりフラワーマーケットの主役的存在。こうやってぶら下げて楽しめるんだとか。

コロナ禍の時期、上環の大きなテラスがあるマンションに引っ越したため、フラワーマーケットに通っては観葉植物を少しずつ増やして、そのうち30種類以上の植物を揃えて自宅をジャングルのようにしていました。

↓今だから公開のかつての自宅。ハリウッドパークに面していて、珍しい鳥が飛びまわっていて、都会の真ん中にいることを忘れさせてくれました。パームツリーは、香港のメルカリ的なカルーセルで買いましたっけ。テラスは夏は暑くて使えなかったけれど、それ以外はヨガして食事してお茶飲んで絵を描いて、とフル活用してました。

↓日本で言うオーガスタも置いておくだけでガンガン育っていましたね。
これはコロナ禍の景気対策金が配られた時、それを当て込んだセールで500ドル(約1万円)で買いましたっけ!

フラワーマーケットを2~3時間かけて何十軒も歩き回って見ていると、その日探したいなと思っている植物もあちこちで見かけて、その中で、一番価格も状態もほどよいものを選んで買えるし、たまたま目についた植物に一目ぼれしたり、素敵な鉢を見つけたり、土や肥料や園芸用品を買ったり。お店によってここはハーブが強い、ここは大きい観葉植物の掘り出し物がある、他ではない珍しい鉢がある、ピンクっぽい葉の植物ばかり集められているなどなど、店によって特徴があって、見ごたえがあるんです。

↓大型店の店頭にもずらりと並ぶ鉢。

↓植物の広東語名が何となく意味が伝わって楽しい。

↓ここは大型の観葉植物が多い店。オーガスタはここで買ったかな?

フラワーマーケットや他の園芸店で売られている園芸用品はほとんど日本からの輸入品だったし、私自身、園芸の知識はほとんど日本のYoutuberの動画で学んでいたこともあり、「園芸大国の日本に行くんだから何でも買いやすいはず」と期待しすぎてしまったんですね。実際東京にいると、園芸店は散在しているから一度にあちこち見て比較しづらいし、特に今は冬だからかもしれませんが、置いてある観葉植物の種類も少ないし。だいた香港は亜熱帯で、街路樹や公園の花壇に様々な観葉植物ががんがん植えられているような土地柄だから、その辺も違うんだなと今更気が付きました。

 

↓モンステラではないのかな? とにかく元気いっぱいな香港の街路樹たち。

↓ピークに登る途中で。自宅で枯らしてしまった子が、元気いっぱいに野生で生えているのにはびっくりさせられました。

↓香港の家にあった植物の一部。水やりが大変だったけど、かわいい子たちでした(涙)。

植物は日本に持って来ることがとても難しい(根っこを完全に洗って、半日かけてお金もかけて、植物検疫の証明書をもらいに行けば可能らしいのですが、引っ越し中にそんな余裕はなくできませんでした)ので、断腸の思いで置いて来てしまって。

一部は友達に譲ることができたものの、私が日本と香港を行ったり来たりしているうちに枯らしてしまったものもあり、今は少しずつ、香港で育てていたのと同じ子たちを集め始めたところですし、お店も好みの合うところを開拓中です。そのうち気が済んだら日本ならではの植物もいろいろ楽しみたいと思っています。

↓東京の家にとりあえずお迎えした子たち。鉢だけは、香港からかなり持ってきました。次は郊外の大き目な店に行きたいところです。

あまり手間のかかる子を増やすと、長期間家を空けにくくなるので、それも悩みどころなんですけどね。

何しろ日本に持ち帰れないので観光客の方には役に立たない情報ではありますが、フラワーマーケットには、切り花や蘭専門店などもかなりあって華やかですし、植物大好きな方には見るだけでも楽しい場所ではあります。メディアにはインスタ映えスポットとして紹介することもありました。バードマーケットやローカルの安くて美味しいお店もいろいろあるエリアですから、行く価値はあると思いますよ!

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