皆様、またまたご無沙汰してしまいました!
香港では残念ながらコロナ第三波が始まってしまい、その影響で今日から全レストランが店内で飲食できず、テイクアウトのみの営業ということになってしまいました。
レストランの経営にも大打撃ですし、自炊しない人も多い香港での市民生活にも大変な負担になっています。正直、これがコロナ感染者数を減らすことにどれだけ効果があるのか(逆に体の負担になって、免疫力落とす人が増えるんじゃないかとか)疑問ですが、とにかくロックダウンはせずに何とか感染者数を抑えようという方向性を貫いています。
そんな中、脳天気にレストランや美食の話をしていいのか、というのはもちろん常に頭にひっかかることではありますが、私、決めました! あとから参照していただくことも多いブログやSNSの投稿ですからね、楽しく外食できる日を夢見て、気にせずどんどん投稿していくことにします。
日々、シェフやレストランオーナーやいろいろな方が頑張っていることは変わらないですからね。
ということで、今回は先日うかがったYing Jee Clubの超絶美味広東料理をご紹介します。
Ying Jee Clubと言えば、長年取材でお世話になっている蕭シェフの店。蕭シェフはかつては唐閣やダドルスを率いていて、ミシュランの常連です。Ying Jee Clubの点心を私の本「週末香港大人手帖」で紹介しています。
見ただけでもすでに素晴らしい技術を使って丁寧に作り込まれた料理であることが分かって、口に含めば脳天にかつーーんと響くような職人芸と美味しさが吹き出すという、高級広東料理はこうあって欲しいという好例ですね。
この夜は8コースのテイスティングメニューをいただきました!
まずは前菜として、クラゲとホラ貝の冷製。普通より赤い身のため「紅葉」と呼ばれる中国・青島産のクラゲはコリコリ度の高い頭部の中でもさらに食感のいい部分を選び、1時間も流水で洗うことでさらに食感を高めているのだとか! 高級広東料理ならではの、こういう隠れた手間のかけ方ってすごいなーといつも思います。ホラ貝は米国産だそうで、これもしっかりとかみ応えがありつつ食感が抜群。紹興酒やごま油を使って味付けしてあって、上にはちょこんとキャビアも載せて。
クラゲ大好きな私にとっては、いきなりの至福です。
西洋料理の技術もしばしば取り入れるというシェフならではの一品が鹿児島牛の醤油炒め。中華鍋でガンガン炒めてほかほかの美味しさ。海と山の幸のコントラストが良くて、食欲が刺激されますね。
次の豪華ロブスターは香港近海産。とても質がいいものが獲れるけれども数は多くないそう。絶妙な火の通り具合で、身の美味しさを心ゆくまで堪能。
ベトナム産の蟹爪料理、普通は蟹爪を揚げるところを、こちらは自家製の蝦ペーストを塗り込んでから炒めて、さらに12時間かけて煮込んだ特製上湯をかけ、揚げた干しホタテ貝も振りかけて、という美味しくないわけがない、プロの味。やっぱり自分の家では絶対に作れない料理ってありがたい。
カリカリのクリスピーポークと、フワリと濃厚なフォアグラを組み合わせて、味と食感のコントラストを楽しんでから、サイドに添えられた野趣あふれる鳩のソテーという、まさにすべてが赤ワインにぴったりな一皿。食材へのシェフのこだわりは半端無く、フォアグラはエシカルな育成をされたフランス産のガチョウ、子豚はシェフが長年つきあいのあるベトナムの農家で育てられる5kg以下の子豚を使い、子豚は丁寧に1枚ずつ脂肪をそぎ落として最もほどよい味わいを生み出しているとか。
これはもう絶対手間がかかっている一品。広東料理で五世代にわたって引き継がれているという魚の浮き袋のチキンスープは3日間かけて作るのだそうですよ。魚の浮き袋は、きちんと作られていると本当に美味。差が出やすい一品な気がします。
この日の最高傑作はこちらのアワビ炒飯。干しアワビ自体がシェフの力量を丸出しにする一品なわけですが、その完璧な食感と、卵、チキン、ローストダックを使って炒めた後にアワビソースも加えて作られた炒飯はもう風味のパワーハウス的な! 「ありがとう」と口に出てくる美味しさでした。
蓮の実餡とサゴのプリン、ココナッツとゆず&金柑のプリン、マンゴ餅・・・・・・。最後まで幸せなディナーでした!
いろいろな店のテイクアウトも応援したいけど、やっぱりきちんとした店でしっかりいただく美味は、代えがたいご褒美ですよね。
美味しいものを最高の環境でじっくりいただける環境が戻ってきますように!
支持します。どんな時でも魅力的な香港を紹介し続けてください。私もまた行ける日を夢見て生きていきます。本当に香港が大好きですから。体には気をつけてください。