香港でライターをやっていて幸せを感じるのは、自分の信じることや好きなことを語り出したら止まらない、手を抜いて楽しようという気持ちがまったくない、純粋で情熱的な人にたくさん会えること。
そういう人たちから、目には見えない心の栄養を日々もらっている気がします。
香港人でも西洋人でも、もちろん日本人でも、世界中から縁あって香港にやってきたたくさんの人たちが、家賃が高くて競争も激しいこの街で、まっすぐな気持ちで日々頑張っています。
それが、香港の街に溢れる活気やエネルギーに確実につながっていると思うし、そういう人から話を聞くと「この人の作るものが食べたい」「この人の店に行きたい」って素直に思うし、その気持ちを皆さんに伝えたくなります。雑誌の取材などで、日本から来た編集さんやカメラマンさんが「甲斐さんが紹介する人は、みんな熱くていい人だね」と分かってもらえると、やっぱり嬉しくなります。やっぱり街の印象を作るのはそこで会う人ですよね!
※口下手やツンデレで話はあんまりできないけど、情熱と職人魂に充ち満ちた人ももちろん好きです♪
そんな熱血シェフの代表格じゃないかなと思うのが、大人気店Rhodaのネーサン・グリーンさん。先日、彼の新メニューも含めたメディア向けの試食会に呼んでいただきました!
サステイナビリティに配慮した、飼育環境がきちんとした畜産農家のものしか仕入れず、動物を丸ごと一頭仕入れることもあって、余った肉はジャーキーにしたり、タルタルにしたりして、無駄を出さない・・・・・・というのがネーサンさんのポリシー。
私もつい贅沢さや質の高さを強調するために、「最高級の豚一頭でわずか100gしか取れない部位の肉を使った叉焼豚」なんてよく書いているし、そういう豚の残りの部分もちゃんと色々な料理に使われているんだとは思いますが、料理に使われる肉のあり方について、ここに来ると考えさせられます♪
などなどご託を並べつつ。生まれのはっきりしたちゃんとした肉は、食べるときも気分がいいだけでなく・・・・・・やっぱり美味しい!
カメラを忘れてあんまりきれいに写真は撮れませんでしたが、この素敵なディナーの様子をご覧下さい!
1つ1つの食材について熱く語るネーサンさん。
これはスペイン産マンガリカ豚のハムやサラミ。すべて自家製! これだけでチビチビ、赤ワインを飲んでいてもきっと幸せなひとときに。
ぷるぷるで甘みもある北海道産ホタテ貝と、フランスのSturia Oscietraのキャビア。
サラダもユニーク。ビーツと蜂の巣、山羊のチーズ、ピスタチオなどの組み合わせが斬新ながら、しっくりなじみます。
ネーサンさんの代表料理の一つ、英国の野生のヘレフォード牛の心臓で作ったタルタルと卵の黄身のピューレ。力強い風味で、鉄分をしっかり補給!!
味がしっかりしていることで有名な熊本産の塩トマトは、シェフのお気に入りだとか。日本の食材は香港でとても人気があります。オリーブオイルだけでシンプルに。
天然サーモンに近い形で養殖されているという、スコットランドのロックデュート社のオーガニックサーモン! 焼き具合も素晴らしくって、これは涙ものでした!
「Rhodaっていうと肉のイメージが強いみたいだけど、野菜だって作れるんだよ」と意地になったネーサンさん(笑)。もちろん美味しいです!椎茸の出汁に、枝豆と温泉卵風の卵を載せて。
さて、次なるは、この立派なラム! イギリスの湖水地方産のHerdwick Hogget! ラムというと1歳未満、マトンというと2歳ぐらいの羊だそうで、ホゲットというのはその中間的なものだとか。ラムより濃厚、マトンより柔らかい、まさにいいとこ取り。
いや、もうこれは。言うことありません。お肉ラバーの皆さん、RhodaへGo!!
この農場から来ているわけではありませんが、Herdwick Hoggetで検索してみたら、こんな映像も出てきました。これじゃ美味しくない分けがない、すばらしい生育環境と愛情を込められて育てられている羊たちなのですね。イギリスの新聞社による「死ぬまでに食べたい50の食べ物」というランキングにも選ばれています。
一つ一つの食材に物語があります。
この絶品で有名なローストチキン。オーストラリアのSommerland Farmと、ニュージーランドのBrink’s Farmから来ているものだそう。
これがそのSommerland Farmのカタログ。ほとんどファッション撮影のような美しさで、鶏たちが撮影されています。広い!走り回ってる!元気いっぱい!威厳がある!
こちらはマンガリカ豚とサドルバッグ豚のロース!
そしてこちらは野生のヘレフォード牛とグレイロングホーン牛。生前のお姿を見るとあまりにご立派で、食べるのが申し訳なくなるような有り難さです。
いやーお腹いっぱいで動けなくなりました。そしてビール酵母を使ったパンも絶品で食べ過ぎ注意。
ちなみにお皿は全部香港のブランドで特注で作っています(PMQに入っているFlow)。
何も知らずに食べても、もちろん大満足ですが、それぞれの背景を知るとますます美味しい、滅多なものは仕入れないRhoda。ますますパワーアップして、相変わらず人気です。次回はカウンターでシェフのうんちくを聞きながら食べたいな。